ヒゲ脱毛をするときに最初に思うこと、またはごっちゃになることの一つに「クリニックとエステサロンの違いは何なのか?」という問題があります。
一見するとただ名前が違うだけで同じものに思えるかもしれませんが、両者はまったくの別物です。法律的にも違い、ヒゲ脱毛に関しても効果や痛みが異なります。
クリニックとエステサロンの違いについて理解を深めると自然に選ぶべき脱毛方法も見えてくるはずです。
クリニックとエステサロンは何が違う?
まず、クリニックとエステサロンの根本的な違いとして「医療」と「美容」の違いがあります。
クリニックとは?
(国家資格を持つ)医師の常駐が義務付けられた、医療行為が認められている医療機関・医療施設の一つです。施術はしっかりと研修を行った医療従事者(有資格者)である医師・看護師が行います。
クリニックは「医療」という立場から、より理論的で効率的な施術を行うことが考えられています。
エステとは?
脱毛や痩身をはじめ、全身の美容など美容全般(エステ)を目的とした施設のことです。美容以外にも疲れや癒しの効果を得るリラクゼーションの目的を兼ねていることが多いです。
施術を執り行うのは資格の必要のないエステティシャンです。(エステティシャンは国家資格ではなく、目指せば誰もがなれる職業で、医師に比べると知識や技術が劣るのは否定できません)
エステは「美容」という立場から、綺麗になることを目的に執り行われます。
このように「クリニック」と「エステ」の間には法的な違いもそうですが、アプローチとして「医療」と「美容」という違いがあります。美容医療という言葉もあるので説明が難しいですが、クリニックは医療、エステは医療ではないという感じです。
脱毛は美容を目的に行う方が多い施術ですが、脱毛は本来毛根の一部組織を破壊する必要のある紛れもない医療行為です。そのため、効果の高いレーザー脱毛はクリニックでしか行えず、エステは光脱毛という毛根組織を破壊できないレベルの照射パワーしかない脱毛機器しか使用できません。エステの脱毛は細かく分類すれば脱毛ではなく制毛や抑毛に該当します。
ある意味で「美容」は続けるもので「治療」は治す(なくす)ものなので、ヒゲ脱毛においてもヒゲをどうしたいのかを考えることで選び方も変わってくるかもしれません。
ヒゲ脱毛において何が変わる?
前述した通り、クリニックとエステサロンには根本的な違いがありますが、その根本の違いが「ヒゲ脱毛」においてどんな違いを生むのか。
- 使用する脱毛機器が変わる
- 施術後のアフターケアの有無
「これだけのことか」と思われるかもしれませんが、使用する脱毛機器が変われば、照射される光のパワーが異なり、ヒゲの脱毛効果が大きく変わり、脱毛期間に差がでます。また、脱毛とは毛根組織を破壊する医療行為であり、施術に伴う火傷などのリスクが伴う医療行為です。医療行為である以上、万が一のトラブルに備えたケアは必須です。
クリニック | エステ | |
---|---|---|
価格 | エステより高い | 安い |
効果 | 永久脱毛 | 制毛・抑毛 |
脱毛機器 | 強力なレーザー脱毛機器 | 弱い光脱毛機器 |
痛み | 痛い | クリニックより痛くない |
脱毛期間 | 比較的早い | クリニックの2~3倍程度かかる |
安全性 | 医療機関なので安心 | 医療は受けられない |
勧誘 | インフォームドコンセントを順守 | 稀にある |
違法性 | 医師法で認められている | 国が認めていない |
価格・費用の違い
クリニックで使用される医療レーザー脱毛機器はエステサロンの脱毛機器と比べ高価な場合が多く、その他医療機関としても様々な設備が必要になります。医師・看護師など資格を持つ医療従事者を雇用する必要があり、どうしてもコストがかかります。その点でエステサロンは医療機関に比べると安くあがり、その差が価格に反映されていると言えます。
脱毛効果の違い
「脱毛」というと「永久脱毛」を想像する人も多いかと思いますが、このほぼ完全に毛を生えなくする「永久脱毛」はクリニックの脱毛でしかできません。エステサロンでは永久脱毛の許可が下りておらず、あくまでも制毛や抑毛の効果しか得られず、毛の再生力が失われるわけではありません。
脱毛機器の違い
クリニックは指向性の高いレーザーを照射する脱毛機器、エステは拡散性の高い光を照射する脱毛機器を使用します。レーザーは狭い範囲で鋭く当たり、光は広い範囲で鈍く当たるイメージです。レーザーも光の一種なのでややこしいですが、光の質や波長が違うため、脱毛効果も大きく異なります。
痛みの違い
レーザー脱毛はエネルギー密度が高く、強い痛みが伴います。光脱毛が出力が低く、痛みは少ないです。また、レーザーは指向性が高い光なのでワンショット当たりの照射範囲が狭く、拡散性の高い光脱毛に比べるとショット数が増える傾向があります。エステに比べると一発一発が強く痛い上、何度も打たなければならないのがレーザー脱毛です。
脱毛期間の違い
脱毛期間は主に使用する脱毛機器の照射パワーによって決まり、出力の高いレーザー脱毛は光脱毛に比べ2~3倍近く期間が短縮できます。
安全性の違い
万が一施術後にトラブルが生じた場合でも施術を受けたクリニックにて迅速な処置を受けることができます。エステサロンは店舗での処置はできず、最悪の場合傷跡などが残る可能性もあるだけでなく、施術者は有資格者ではないため、スキルの問題で照射漏れの可能性もあります。
勧誘の有無
クリニックはインフォームド・コンセントを順守し、患者の同意のない契約はしません。全てのエステがそうではないものの、適度な勧誘がある場合があります。
違法性
クリニックは医師法により認められた医療機関であり、エステは特別国が認めているわけではありません。
どっちがいい?どっちがヒゲ脱毛向き?
比較表でお伝えした通り、それぞれにメリット・デメリットがあるので、あなたがどちらを選ぶかだけですが、ヒゲ脱毛を考える時に「脱毛期間」は考慮しておきたい要素です。
ヒゲ脱毛は「ヒゲの毛周期」の関係上、2~3ヶ月に一度行うのが効果的です。さらにヒゲは人体の中でも最も太く強い毛です。効果の早いクリニックの医療レーザー脱毛でもツルツルに10回以上、効果を感じる(薄くなり始める)のに3~5回程度の施術が必要になります。
エステのヒゲ脱毛はこの期間の2~3倍以上を見ておかなければなりません。非常に長い間通い続ける必要があり、効果を感じられるのはずっと先の話になります。
なかなか効果の見えない施術を続けるのは精神的にも経済的にも不安になるものです。その点で効果がわかりやすいクリニックのヒゲ脱毛はヒゲ脱毛向きです。
そもそも、価格においても長期的に見れば変わらない点、痛みは医療行為である麻酔で和らげられる点を考えるとクリニックでヒゲ脱毛を受ける方がトータル的にメリットが多いです。
ではなんでエステを受ける人がいるの?
やはり「ヒゲ脱毛を試したい」という方は多く、
- 痛みが少ない
- (一回あたりの)料金が安い
という短期的に見たときのメリットが魅力的であり、試しにヒゲ脱毛を体験してみたい、完全にツルツルにするつもりはない、時間はかかってもいいから都度安い料金で受けたい、そんな人に試してみる方は多いといいます。
また、クリニックの脱毛の痛みに耐えられずエステに変える人もいます。逆もしかりで、脱毛ができるとエステに通ったものの、脱毛効果がなくクリニックに乗り換える方もまた多いです。
やはり本格的にヒゲ脱毛をしたい方にはクリニックの医療レーザー脱毛がおすすめです。
よくあるヒゲ脱毛のおすすめランキングなどでは、エステが上位にランキングされていることもありますが、ここで解説したような「真実の部分」を隠している場合が多いです。そのため、騙されていると言っては何ですが、そういった本当の部分を隠した情報に騙されてエステサロンを受けてしまっているのも多いのだと思います。
まとめ
クリニックとエステの違いを理解し、ヒゲ脱毛としてどちらを選べばいいのかを迷ったのであれば、
- しっかりとヒゲ脱毛(ツルツル、または薄く)したいならクリニック
- 試してみたいだけならエステ
こう考えて、どちらがあなたの要望に合っているのかを考えてみると自然とどちらを選ぶべきなのかが見えてくるはずです。
クリニック | エステ | |
---|---|---|
価格 | エステより高い | 安い |
効果 | 永久脱毛 | 制毛・抑毛 |
脱毛機器 | 強力なレーザー脱毛機器 | 弱い光脱毛機器 |
痛み | 痛い | クリニックより痛くない |
脱毛期間 | 比較的早い | クリニックの2~3倍程度かかる |
安全性 | 医療機関なので安心 | 医療は受けられない |
勧誘 | インフォームドコンセントを順守 | 稀にある |
違法性 | 医師法で認められている | 国が認めていない |
いずれにしても長期を見ると、クリニックの医療レーザー脱毛の方が経済的にもメリットが大きいので「脱毛をしたい」と思っているならクリニックを選んだ方が無難だと思います。